自然災害は突然やってくるものです。
避けては通れませんが、備えをしておくことで
命が助かるだけでなく減災することができます。
まずは自分や周りの命を守ることができたら、
その次は出来るだけ早く普段の生活に戻りたいと考えます。
もしも被災をしてしまった時、その後の手続きについて皆さんは知っていますか?
申請や手続きをしないと本来受けとれる支援や制度を使うことができません。
被災後の手続きについて、事前に知っておくのも減災の1つと言えるでしょう。
今回は、もしも自然災害で被災してしまった場合を想定して、
受けられる支援に必要な「罹災証明書」について説明していきます。
「罹災証明書」を取得しよう
自然災害に起こり、被災をしてしまったら「罹災証明書」を取得しましょう。
これらは、被災後の公的支援を受けるために必要な大切な書類です。
もしこの書類の申請をしていなかったら、
様々な公的支援が受けられない可能性があります。
または、各申請に大して確認作業に時間を要されて手続きが遅れる場合もあります。
では「罹災証明書」があればどんな支援が受けられるのか、
申請方法や支援の種類などを詳しく解説していきます。
「罹災証明書」とは?
罹災証明書は「家屋が災害の被害をどれくらい受けたかどうかを証明する書類」です。
罹災証明書は、「被害にあったという事実」だけではなく
「被害の程度」も証明することができます。
つまり、家屋が被害にあった人のみが申請する証明書になります。
被災した住宅の損害状況が
「全壊・大規模半壊・中規模半壊・半壊・純半壊・純半壊に至らない(一部損壊)」等
の4~6つのランクで判定されます。
「被災証明書」とは何が違うの?
被災証明書とは、何かしらの対象を限定したものではなく、
「被災したという事実を証明する」書類のことです。
罹災証明書とは違い、家屋だけに限定されず、家財や自動車などもあてはまります。
その他店舗や工場など、住宅として使われていない建物も対象になります。
ですが、被災証明書は罹災証明書とは異なり、被害の程度ではなく「被害を受けた」
という事実のみの証明書になります。
被害の程度を必要としないものや、家財道具の被害を証明したい場合は「被災証明書」
も忘れずに申請しましょう、
取得しておいた方が良い理由
罹災証明書を取得することで、
公的な支援、税の減免、損害保険会社への請求などの際に必要になります。
取得しておかないと、本来受けられる支援が受けられない可能性があります。
被災をすると心の余裕もお金の余裕もなく、
調べる気力すら奪われてしまう状況になります。
事前に取得方法を調べておけば、そこに体力や精神の負担をかけないでいられます。
必ず申請するようにしましょう。
「罹災証明書」の取得方法は?
罹災証明書の申請は、該当する自宅(家屋)の所有者または、居住者が自治体に行います。
委任状があれば第三者でも代理で申請することができます。
委任状がなくても罹災者と同一世帯の人、三親等以内の親族、
法定代理人が申請することも可能ですが、罹災者との関係を証明するものが必要です。
手続きの手順は、以下の通りになります。
①被害届をだし、被害状況の調査をしてもらう
被害を受けた建物がある市町村などの自治体の担当部署に申請、発行してもらいます。
火災の場合の申請先は、所轄の消防署になります。
被害届を提出すると、国が定めた調査方法によって、調査員が被害状況の調査が行われます。
調査員が現場で外観を目視し、損傷を把握します。
また、家屋に傾きがある場合は、傾きの程度を測定します。
罹災者が申請があった場合は、家屋内部まで調査が行われます。
調査が完了すると、被害の程度を記した調査済証をもらえます。
②自治体に申請する
現地調査完了時に受け取った調査済証をもとに自治体にて申請を行います。
自治体によって申請期限はまちまちで、災害から3ヶ月としているところが多いです。
自宅がある自治体の情報を必ず確認するようにしましょう。
申請に必要な書類
- 申請書
- 本人確認書類
- 委任状(代理人が申請する場合)
- 写真や修理見積書など被害状況の確認ができるもの
※郵送による交付希望の場合は、切手を貼った返信用封筒を忘れずに!
③「罹災証明書」を交付してもらう
各自治体の窓口、または郵送にて交付されます。
申請後、交付までは1週間から1か月かかるため、早めの申請が大事です。
もし急いで行う必要がある手続きがある場合、
「罹災届出証明書」を発行してもらうとよいでしょう。
これは「罹災証明書を申請し、発行を待っている状態だということを証明する書類」
であり、罹災証明書が発行されるまでの間つなぎとして役立ちます。
「罹災届出証明書」は、罹災証明書の申請時に即日発行してもらうことが可能です。
公的支援を受けたい場合にこの罹災届出証明書を提示することで、
支援の種類によっては罹災証明書がなくても支援を受けることが可能になるので、
入手しておきましょう。
罹災証明書によって受けられる支援や制度
罹災証明書を取得することによって、様々な支援を受けたり、申し込むことができます。
主にどのような支援を受けられるのかを紹介していきます。
申し込めないと生活再建に大きな影響がでますので、
罹災証明書を取得してこれらの支援や制度への申込をしましょう。
給付
被災者生活再建支援
市町村に申請すると、国指定の基金などから最高300万円の支援金が給付されます。
住宅の被害程度や再建方法、世帯人数などによって金額が決まります。
住宅の被害の程度に応じて支給される基礎支援金と、
住宅の再建方法によって支給される加算支援金の合計が支給されます。
基礎支援金
被害の程度 | 全壊 | 解体 | 長期避難 | 大規模半壊 |
---|---|---|---|---|
支給額 | 100万円 | 100万円 | 100万円 | 50万円 |
加算支援金
再建方法 | 建設・購入 | 補修 | 賃貸(公営住宅以外) |
---|---|---|---|
支給額 | 200万円 | 100万円 | 50万円 |
義援金
義援金は、日本赤十字社等の団体が一般市民や会社から募金を集めて、発生します。
集められた義援金を義援金分配委員会が、各機関からの義援金をとりまとめて
配分基準を作成し、被災した方々に公平に分配を行います。
しかし、義援金の有無は、被害の状況や都道府県により違いがあるので、
発生するか否か、金額などは明確な基準がありません。
したがって、義援金を生活再建として視野にいれることは難しいかもしれません。
ですが、少しでも多くの支援があった方がより早く生活の目途がつきますので、
申請は忘れないようにしましょう。
減免や執行猶予
被害状況によって、税金や保険料、公共料金の減免や猶予をしてもらえる
可能性があります。
減免や猶予の対象は、所得税・住民税・固定資産税・国民保険料などになります。
支援内容は、損壊の程度や自治体によって異なる可能性があるので
事前に確認するようにしましょう。
融資
災害援護支援金
世帯主が1ヶ月以上の負傷をしている、住居・家財等に相当程度の被害を受けた場合は
所得が一定額未満の世帯については生活の立て直しを図るため
資金の貸付を受けることができます。
市町村から最高350万円を無利息または年利3%で借りることができます。
住宅の被害の程度などによって金額が決まります。
住宅金融支援機構融資
災害で住宅が「全壊」、「大規模半壊」、「中規模半壊」または「半壊」した旨
の「罹災証明書」を交付されている人が、住宅金融支援機構の災害復興住宅融資を
利用することができます。
住宅復旧のための建築資金・購入資金に対して融資をうけることができます。
仮設住宅への申込
大規模災害が発生し、仮設住宅が建設されることになった場合、
仮設住宅に入居できる可能性があります。ただし、入居が決定するわけではありません。
罹災証明書を提示すると、入居対象者に該当するかを判断をしてくれます。
通帳や印鑑がない場合はどうする?
大規模災害が発生したときに一番優先することは、なんといっても命です。
命が助かるかどうかの時に何かを持ち出す余裕がないことも十分に考えらます。
被災した時は、通帳や印鑑がなくても各金融機関は柔軟な対応をとってくれるので、
安心して罹災証明書の手続きをしてください。
金融機関や保険各社では、本人確認書類があれば限度はありますが
預金を引き出すことは可能です。
また、本人確認書類がなくても相談することは可能です。
ですので、被災をした場合はあわてて通帳や印鑑をとりにいくことはせず、
命を優先して必要な場合は避難をしましょう。
まとめ
もしも自分が被災してしまったら、命の次に考えることは生活再建です。
生活を再建させる一つの手段として、「罹災証明書」の取得はとても有効なものです。
「罹災証明書」を所得していなければ、
本来受けられるはずの支援や制度を活用することができません。
お金や物資が全てではないですが、生活をしていくためにはかかせない大切なものです。
正しい知識や手続き方法を事前に知っておき、必要な時に活用していきましょう。