地震・津波

今日は防災の日、関東大震災から100年  著:くぼてんきさん

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山下公園上空
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はじめに

二代目横浜駅の遺構 関東大震災発生により廃止に

今年は関東大震災発生から100年の節目の年

関東大震災は東京の地震だと思われている方もいるかもしれませんが、神奈川県を震源とした地震で、県全域で強い揺れや津波、火災などによる被害が発生しました。
神奈川県は海もあり、山もあり、自然に恵まれた場所です。その反面、それぞれ災害リスクが潜んでいます。土砂災害や水害などへの備えを改めて考える日にしていただければと思います。

2011年、防災士の資格を取得

防災士の資格を取って一番初めにやったことは、妻に防災士の資格を取ってもらうことでした。もともと、防災に興味があった人だったので良かったですが、私以外の視点、女性の視点、アドバイスが欲しかったからです。
皆さんにも防災士の資格を取って欲しい…とまでは言いませんが、ぜひ、防災イベントや地域の防災訓練などに参加して、皆さんの、そして皆さんの街の防災力を上げてもらえると嬉しいです。一緒に頑張りましょう。

100年前の地震と天気

1923年9月1日、関東大震災(マグニチュード7.9)が発生

近代化した首都圏を襲った唯一の巨大地震で、死者・行方不明者は10万人を超えました。
発生時間が11時58分(昼食の時間)だったこともあり、多くの火災が起きて被害が拡大してしまいました。(死者・行方不明者数の約9割は火災によるものといわれています)
被害が拡大した理由は「時間」だけではありません。
実は「天気」も影響していたんです。

火災が広がった原因

9月1日は台風が日本海を北上していて、関東地方は風が強い状態が続いていました。それが原因で、火災が広がったとも考えられています。
内閣府の報告書によると、東京で111個、横浜市でも30個の火災旋風が発生したとされています。火災に巻き込まれた東京の中央気象台(現在の千代田区)では、非公式ながら、9月2日の午前1時に45.2℃の高温を観測したそうです。
考えただけでも怖いですが、地震と台風が重なるという事が今後もないとは限りません。

被害は東京以上?!

関東大震災の復興事業の一環として、日本で最初に開設された臨海都市公園”山下公園”

住家の被害は神奈川県が多い

死者・行方不明者数だけを見ると、東京(当時は東京府)が70,387人、神奈川県が32,838人と東京の方が多いですが、住家全潰被害は神奈川の方が多かったんです。
東京の住家全潰棟数24,469棟に対し、神奈川県は63,577棟と2.5倍以上です。(内閣府 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成18年7月より)
火災が起きなければ、震源により近く、揺れが大きかった神奈川の方が死者数が多くなっていたのかもしれません。

やはり埋立地は地盤が弱い

特に現在のJR関内駅付近(大岡川と中村川・堀川に挟まれた埋立地)は、全潰率が80%以上のところが多かったそうです。
やはり埋立地はもともと陸地だった所と比べると地盤が弱く、巨大地震が起きると液状化現象(地盤が液体状になる現象)が発生し、建物が基礎部分から倒壊するおそれが高いです。自分の住んでいる場所が埋立地かどうかを知っておくのも大切かもしれません。

火災のイメージが強いが、津波も

地震後5分ほどで津波が襲来

関東大震災(大正関東地震)の震源域が相模湾内にあったため、三浦半島から伊豆半島にかけて、高さ数メートル以上の津波がやってきました。
早いところでは地震後5分ほどで津波が襲来し、津波の高さは静岡県の熱海で12メートル、房総半島の相浜で9.3メートル、神奈川県の鎌倉では5~6メートルとなったそうです。
(参照:内閣府 災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成18年7月)

相模湾は特に被害が多かった

相模湾は人口が多く、とくに津波の被害が多かったとされています。
鎌倉では津波が2回襲来し、鎌倉の大仏が45センチ沈下、下がった方に35センチ動いたそうです。1930年に鎌倉町役場が発刊した「鎌倉震災誌」によると、最初に海水が引いた距離は500メートル以上で、江の島沖から由比ヶ浜方面を向いて襲ってきたとのこと。
津波被害は1回目よりも2回目の方がはるかに大きく、海水が急激に引き、やがて沖合から「黒褐色を帯びた大波が押し寄せた」とされています。

そして、土砂災害も

関東大震災で形成された堰止湖の震生湖(神奈川県秦野市と中井町にまたがる)

土砂災害の被害

土砂災害による死者が700~800人いるのですが、その大半も神奈川です。
地震の揺れや地震直後の大雨により、崩壊や地すべり、土石流などによる土砂災害が多数発生し、とくに今の小田原市根府川では土石流により64戸が埋没、死者406人という被害が発生しました。
(参照:横浜地方気象台 神奈川県の主な地震・津波災害事例

土石流の発生

根府川駅では列車が駅に入る際に土石流が発生し、列車が海に転落してしまう被害が発生しました。
また、神奈川県の秦野市と中井町にまたがる震生湖は、関東大震災(大正関東地震)の際に形成されました。揺れによって丘陵が崩落し、土石流が河道を閉塞することでせき止められ、その地域の地形を大きく変化させてしまったものです。せき止め湖です。

私はまだ行ったことないので、ぜひ行ってみたいと思います。 県内に残る関東大震災の慰霊碑や記念碑、または震災の跡を見ることも、防災力を高める1つです。

くぼてんきさんのお話を聞いて

関東大震災復興記念に寄贈された山下公園のインド水塔(神奈川県横浜市)

くぼてんきさんに、関東大震災と防災について貴重なお話をいただきました。 過去の災害について知る・調べる・見てみることは、防災に取り組むうえで大切なことだと改めて感じました。 「防災の日」などの節目に、どのようなことが起こったのか、どうして起きたのかを知ることで、身の回りの備えを強化する参考になりますね。できれば、そのような機会を何度も設けることが理想的ですが、まずは「防災の日」をきっかけにはじめてみませんか? この記事を読んでいただいたことで、皆さんの防災に対して考えるはじめの一歩になりましたら幸いです。(SONAETERUスタッフ)

くぼてんき

日本テレビ「 ZIP! 」気象キャスター。はまっ子防災プロジェクト公式アンバサダー。気象予報士、防災士、こども環境管理士。東京都認定大道 芸人ヘブンアーティスト。

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