水は、私たちが生きていく上で欠かすことのできない大切なものです。
台風や地震など自然災害が発生すると、老朽化で耐久性が低下した水道管の
損傷などにより、断水が起きてしまう危険性が高くなります。
もしも断水してしまったら、飲料水を確保できなくなるだけでなく、
トイレやお風呂場、洗面所、炊事などあらゆる生活の場面で困ってしまいます。
仮に十分と思える水を備蓄していたとしても、
いつまで断水が続くのか、水がなくなりはしないかと不安になるかもしれません。
そのような不安が少なくなるために、
水の重要性から説く必要な水の量や、断水時に役立つアイデアを紹介していきます。
目次
- 1 日常の生活からみる水の重要性
- 2 断水時の役立つ豆知識9選
- 3 まとめ
日常の生活からみる水の重要性
皆さんは一日に、飲み水や生活用水にどのくらいの量を使っているか知っていますか?
1日の生活を振り返ってみると、水を使う機会がどれだけ多いかわかります。
朝起きて水を飲み、トイレに行き、顔を洗い、歯磨きをする時やトイレや手洗い、
歯磨きは1日に複数回行いますし、お風呂やシャワーでも水を使用します。
また、食事を食べた後の洗い物や洗濯機にも大量の水を使用します。
こうした日々の生活に欠かせない水の使用量と災害時に備えたい量を見ていきます。
一日に必要な飲料水の量
人間は平均して体の60~65%が水分で構成されています。
そして、1日あたり約2.5リットルの水分を体外に排出していきます。
なので、健康を維持するためには1日に食事や飲水を含めて2.5リットルの水分が
体に必要になります。
仮に体内の水を5%失うと、脱水や熱中症を引き起こし、
10%失うと筋肉の痙攣・循環器不全などが起こります。
そして、体内の水を20%を失うと人は死に至ります。
そのくらい人にとって水は重要なので、
災害時にはまず飲み水の確保を優先するようにしましょう。
通常の生活で使用している生活用水の量
東京都水道局の令和元年度の調査データによれば、
ご家庭で1人が1日に使う水の量は、平均して214リットルとなりました。
そんなに使うの?と感じる人も多いのではないでしょうか。
それでは水の使用量の一部内訳をみてみましょう。
用途 | 使い方 | 使用量 |
---|---|---|
洗面・手洗い | 1分間流しっぱなしの場合 | 約12リットル |
歯みがき | 30秒間流しっぱなしの場合 | 約6リットル |
食器洗い | 5分間流しっぱなしの場合 | 約60リットル |
洗車 | 流しっぱなしの場合 | 約90リットル |
シャワー | 3分間流しっぱなしの場合 | 約36リットル |
参照元:東京都水道局 https://www.waterworks.metro.tokyo.lg.jp/kurashi/shiyou/jouzu.html
この表が全てではないですが、いかに水を流しっぱなしにすると、
大量の水を消費してしまっているかがわかります。
日頃の節水が防災になる
前項の表では、いかに水を必要以上に消費しているかがわかりましたね。
ですが、反対に流しっぱなしにしなければ、大きく消費量を抑えることも読み取れます。
例えば、歯磨きに使用する水を流しっぱなしにせずに先にコップに用意するだけで、
5リットルの節水ができます。
また、洗車をするときは、ホースを使わずバケツの水を使用すれば、
60リットルが節約できます。
日常で節水を心がけることで、災害時に節水をするストレスも少なくなるので
習慣をつけておくのも防災の1つと言えます。
お金の節約にも効果があるので、ぜひ実践してみましょう。
災害時に必要な水の量
災害時は、断水になる可能性があります。
もし、断水をしてしまったら備蓄している水を少しずつ大切に使うことが求められます。
まずは飲料水として1人1日あたり3リットルを確保していきましょう。
そのほか、生活用水として1人1日約10~20リットルを最低限確保しておきます。
この量は節水をこころがけた上で手洗い、トイレ、炊事などを使用目的とした
最低限の生活用水量です。
もし、生活用水が不足してしまうと衛生状態が悪くなり、食中毒やコレラ、ノロウイルス
などの感染症を引き起こし、命にかかわる重篤な症状になるおそれもあります。
したがって、水は次の通りの量を備蓄しておくと良いでしょう。
1人あたりの備蓄水
飲料水 3リットル×7日分
生活用水 10~20リットル×7日分
参照元:厚生労働省(健康のために水を飲もう)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html
断水時の役立つ豆知識9選
人にとって水がは重要なことかがわかりましたね。
災害時でも水の確保は最優先事項になります。
ですが、断水になったり、備蓄水が不足してしまったりと災害時は
予想ができない事態が起こりえます。
公的支援での給水もあるかもしれませんが、持ち運びも大変な上に、
量も限られていますし、生命にかかわる水はできるだけ節水して使いたいものです。
そこで、災害時の断水に役に立つアイデアを集めました。
家にあるもので準備ができて、ちょっとした工夫で節水ができたり、
水の持ち運びが楽になります。
日常でも使えるアイデアもありますので、
家庭内で挑戦してみるのも良いかもしれませんね。
豆知識1 お風呂に水を貯めるのは、注意すべき点がある
災害に備えてお風呂のお湯を抜かずに貯めておくご家庭も多いと思います。
確かに便利ではありますが、お風呂に水をためることは問題視される点もあります。
赤ちゃんや小さい子がおぼれてしまう可能性
子どもは水深10cmでも溺れてしまうことがあります。
なぜ水深10cmという浅い場所で溺れてしまうのかというと、
子どもは顔面に水がついた瞬間、何が起こったのか状況が判断できず、
もがくこともせずそのまま溺れてしまうのです。
もし、お風呂に水を貯める場合は、ふたをしっかりと閉めておきましょう。
菌の繁殖
お風呂の残り湯は時間が経つにつれ細菌が繁殖し、
菌の中には健康に影響を与える菌も含まれています。
一日目のお風呂のお湯にはごく少数の菌しかいませんが、
一晩経過すると約1,000倍にも増殖するといわれています。
残り湯は飲料や調理には使えないため、使える場面が限られてきます。
浴槽内を綺麗に掃除して、残り湯ではなく水道水をためておく方が
生活用水として使いやすくなります。
豆知識2 断水時は、トイレに水を流してはだめ!
災害時、断水になっても直接水をトイレに流し入れることで、
手動で流すことができる場合があります。
しかし、それを行うには注意が必要です。
災害が原因で断水が起きた場合、下水管や道路の配管・建物内部の排水管が
ダメージを受けている可能性があります。
万一、排水管が破損している状態で水をトイレに流した場合、
便器から水が溢れたり、排水管にあった汚水が逆流したり、
下の住戸を汚してしまう恐れもあります。
また、トイレは少量の水で流そうとすると、配管に詰まりやすいというリスクもあり、
必ず排水の状況を確認することが大切です。
豆知識3 ペットボトルを使った意外な節水方法
断水時、給水所から配られた水を使いたくても、
蛇口がないと不便に感じることがあると思います。
そんな時役に立つのがペットボトルです。
ペットボトルの下の方に、キリなどで小さめの穴をひとつ開け、
穴を指で押さえながら水を入れます。
キャップを締めれば、穴から指を離しても水は出ません。
蛇口のようにキャップを緩めると、穴から水が出てきます。
逆にキャップを締めれば、水が止まります。
使用しない時は念のため、穴の面を上にして倒しておけば物理的にも水が漏れません。
蛇口として使え、小さい穴から少量の水しか出ないため節水にもなります。
また、キャップをゆるめれば両手が使えるので、手洗いのときに重宝します。
ペットボトルを再利用して手軽な節水術を試してみてはいかがでしょうか。
豆知識4 皿にラップをしいて使えば、洗わなくてよい
食器洗いで水を5分間流しっぱなしにすると約60リットルの水量を使うといわれています。
お皿にラップを敷いてから、料理を盛り付けるとお皿が汚れなくなるので、
食器を洗う際の水を節約することができます。
豆知識5 リュックの中にゴミ袋を敷いたらポリタンク代わりになる
断水時に給水される場合、給水所から水を運ぶ為のものが必要になります。
ポリタンクやウォータータンクがあれば事足りますが、
なかなかすぐに用意するのが難しいものです。
そんな時に役に立つのが、どこのご家庭にも大抵用意のあるリュックとゴミ袋です。
リュックの中にゴミ袋を敷くだけでポリタンク代わりになります。
また、手で持つポリタンクと違いリュックを背負うので、
比較的楽に重い水も運ぶことができます。
豆知識6 車がない人必見、ゴミ袋・段ボール・キャリーで給水を簡単に運べる
リュックの量では足りない!もっと多くの水を一気に運びたいという方は、ぜひこの方法を
試していただきたいです。
作り方は簡単!キャリーの上に組み立てた段ボールを置き、
段ボールの中にゴミ袋を敷くだけです。
段ボールは水に触れるとフニャフニャに崩れてしまうため、
ゴミ袋は出来るだけ大きめなものを用意し、
段ボールを包み込んでしまうとより安定します。
車がない人はこの方法を試してみてはいかがでしょうか。
豆知識7 からだふきシートは身体だけではなく頭を拭くことができる
汗でベタついた身体や頭皮を拭いたり、臭いケアにも使えるので、ぜひ備えておきましょう。
頭皮は髪の毛が邪魔をして拭くのが難しいときは、
ブラシにシートを通して髪の毛をとかすようになでると汚れが取り除けます。
最後にシートを指に巻き、髪の分け目の汚れも忘れず拭き取りましょう。
身体を拭く際のポイントは、上から順に拭いていくことです。
特に胸の中央、背中の上部、脇の下、陰部など身体の中心部分には
皮脂腺が多く存在するので、そこを意識しながら拭き取りましょう。
豆知識8 水を使わなくてよい食品を備蓄する
災害によって断水が生じた場合、普段と同じ食事を取ることは難しくなります。
日頃から水を使わずに食べられる非常食を用意しておきましょう。
下記の食品は断水時に適した非常食の一例ですので、ご参照ください。
- レトルト食品
- パックご飯
- 缶詰
- パン
- おやつ類(クッキー・ビスケット・おせんべい・バランス栄養食等)
豆知識9 耐熱ポリ袋で洗い物なし調理をしよう!
耐熱ポリ袋調理は、食材や調味料をポリ袋に入れて、混ぜたり加熱する調理方法です。
一番のメリットは洗い物が少ないことです。
袋1つで下ごしらえ用のボウルと調理する鍋の役割を兼ねるので、
調理器具も手も汚さずに済みます。
食品に触れることがないので衛生面でも安心できます。
湯銭した水は再利用ができるのでほぼ水を使わない画期的な調理方法です。
耐熱ポリ袋調理の方法やレシピの一例はこちらを参照ください。
参照元:東京ガス 「災害時に活躍! ポリ袋と湯煎で作る「お湯ポチャレシピ(R)」とは?」
https://tg-uchi.jp/topics/3176
まとめ
断水時に使える豆知識はいかがだったでしょうか?
普段の生活からみる水の重要性を考えると、通常も災害時もいかに水の確保が大切で、
最優先事項になるということがわかりましたね。
また、普段の生活では少しの気遣いで、簡単に節水することができます。
毎日の節水を心がければ、
万が一の事態の時にストレスが少なく過ごすことができます。
さらに、断水時に使える豆知識を活かせば、水の使用量を大幅に減らせるので
本当に必要なことに限りある資源をまわすことができます。
予期せず襲ってくる災害や断水の時は、少しの知恵と工夫でその場を乗り越えていきましょう。