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「線状降水帯」はなぜ増えた?最近よく耳にする理由とは

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近年、よく耳にする「線状降水帯」は、主に夏前後に発生します。





線状降水帯によって、

甚大な被害を受けたエリアも数多く報告されているので、大雨が降る

天気が荒れる現象ということは、知っている人は多いと思います。





では、なぜ以前はあまり聞いたことがない「線状降水帯」と言う言葉を、

近年になって聞く機会が多いのでしょうか。





今回は「線状降水帯」について、理由を解説します。






線状降水帯とは





山と豪雨




気象庁による線状降水帯の定義は、

「次々と発生する発達した雨雲(積乱雲)が列をなした、組織化した積乱雲群によって、

数時間にわたってほぼ同じ場所を通過または停滞することで作り出される、

線状に伸びる長さ50~300km程度、幅20~50km程度強い降水をともなう雨域」

とされています。





つまり、通常は長くて1時間といわれる積乱雲が次々発生して、

列をなしてほぼ同じ場所に通過または停滞し、

長時間の集中豪雨をもたらす現象をさします。





毎年のように、この線状降水帯による大雨が発生して、

土砂災害や洪水などの被害が報告されています。





線状降水帯のメカニズム





線状降水帯のメカニズム




ではなぜ、線状降水帯が発生するのでしょうか。

線状降水帯のメカニズムについて知っていきましょう。

①暖かく湿った空気が地表近くに継続して流れ込む。

②前線や地形などの影響で上昇気流が起こり、次々と積乱雲が発達する。

③上空の風で一方向に流され積乱雲が線状にならび集中豪雨をもたらす。

という流れで線状降水帯が発生します。





なぜ最近たくさん聞くようになったの?





増水した川




「線状降水帯」という言葉は、最近になって生まれた言葉のように感じてしまいますが、

2000年ごろから気象用語自体は存在していました。





ではなぜ、近年頻繁に使われるようになったのでしょうか。





理由として次のようなことが推察されます。





現在ほど気象予報に精度がなかった





濡れた傘




過去の大雨も「線状降水帯」によるものがあった可能性は否定できませんが、

今ほど気象予報や分析に精度がなかったので、

予測することも確認することも難しかったのです。





ですので言葉は存在していたけど、その現象が元で発生した大雨かどうかが

定かではなかったということになります。





線状降水帯の発生が増えた





パソコンで線状降水帯のエリアをみる




気象庁気象研究所の分析によると、「線状降水帯」などでもたらされる

「集中豪雨」の頻度がこの45年間で約2倍に増えてきていることがわかりました。





特に梅雨時期は約4倍に迫っています。





原因としては、地球温暖化が理由の1つという意見があります。





それは地球温暖化が進み、海水温が上昇することで水蒸気の量が増加し、

豪雨をもたらす可能性が指摘されているからです。





(出典:気象庁気象研究所 https://www.mri-jma.go.jp/Topics/R04/040520/press_040520.html

線状降水帯が発生しやすい場所は?





山と豪雨




時には甚大な被害をだすことになる線状降水帯は、

発生しやすい場所や条件が決まっているのでしょうか。





もし明らかであれば発生予測が可能にはなりますが、

現時点で推測できる条件や場所について考えていきましょう。





九州地方

草千里

太平洋高気圧と日本海の高気圧に挟まれた梅雨前線が九州付近に停滞し、

南から暖かく湿った空気が同じ場所に供給され続けると上昇気流が生じて

積乱雲が発生しやすくなります。





その後、同じ場所に積乱雲が次々と発生するため、雨雲が帯状となり、

線状降水帯が発生しやすくなります。





山沿いの地域(風下側)

豪雨で山がかすむ




暖かく湿った風が山に当たり、停滞することで積乱雲が発生しやすくなります。

線状降水帯は予測できる?





道路が冠水する




線状降水帯は、現在の技術では「正確な予測」が難しいのが現状です。

現在、気象庁では、線状降水帯の予測精度向上を目的とした取り組みが行われています。

水蒸気観測等の強化、防災気象情報の高度化に力を入れ、予測体制を高めています。

観測の強化





  • 気象衛星観測の強化
  • 洋上観測の強化
  • 待機下層の観測の強化
  • 局地的大雨の監視の強化

観測強化のしくみ





線状降水帯は、積乱雲の連続発生により生まれる現象なので、

積乱雲のもとになる水蒸気の量をどれだけ正確にとらえられるかが鍵になります。





会場で水蒸気を捉えるためふだん位置情報を取得するためにGPSシステムを活用します。





衛星から電波を受信する際に、待機中に水蒸気があると電波が届くまでに

わずかな遅れが生じます。





その遅れの差から水蒸気量を推定して予測に活かします。





気象庁は、観測船、海上保安庁所有の船、民間フェリーに機器を取り付けて

観測体制を強化しています。





予測の強化





2022年の6月から、線状降水帯の発生の予測発表が開始になりました。





現在は、半日前から6時間前までに全国を11ブロックに分けた地方予報区ごとに

発表することになっています。





今後スーパーコンピューターを高性能なものに整備・更新し、

2024年からは県単位で、2029年からは市町村単位で

情報を発表する予定になっています。





今のところ、予測情報は「空振り」「見逃し」「的中」と安定していない

結果となっていますが、危険性を伝えられる、予測情報がでたことで災害に備えられる、

ことが重要なのです。





また、予測情報が来なかったとしても、いつ災害が起きても対処できるように、

防災対策をしておきましょう。





まとめ





冠水している道路




線状降水帯が、最近よく聞くようになった理由がわかりましたね。





過去に比べると気象の研究がすすんでおり、近い将来、

線状降水帯発生の予測がより早くなることが予想されます。





ですが、線状降水帯というのは短い時間で形成される性質があるので、

常に気象情報に耳を傾けると同時に、ハザード情報の確認や

備蓄などの防災対策をこころがけておくとより安心ですね。

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