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防災用語って覚えないといけないの?
みなさんは「防災用語」とは何を指しているか知っていますか?
「防災用語」とは、メディアやコンテンツからでも伝わる災害や防災にかかわる情報の
共通の熟語あるいは名詞のことです。
「防災用語」を頭にいれておくと、
災害や災害リスクから命を守るためにとるべき行動が把握できたり、
災害時に防災情報等から危険度を正しく認識して安全を確保できます。
使用頻度の高い用語だけでも覚えておけば困ることは少ないので、
家族や大切な人と共有して、思い違いがないようにしておきたいものです。
「おかし」は防災用語ではない?
みなさん学生の頃に避難訓練をした際、
よく「おかし」や「おはし」といった言葉を聞いたことはないでしょうか?
意味は「押さない・駆けない・しゃべらない」や
「押さない・走らない・しゃべらない」なのですが、
こちらは全て「防災用語」ではなく避難訓練のための「標語」です。
教育委員会や小学校によっても言い方は異なりますが、おおよそ同じ意味あいを指しています。
ちなみに現在、消防庁で推奨している標語は、「おかしも」「おはしも」になります。
「押さない・駆けない・しゃべらない・戻らない」
「押さない・走らない・しゃべらない・戻らない」
を意味します。
最近増えてきた標語で「おかしもて」もありますが、
「て」は「低学年を優先に」という意味です。
もし、本当に避難することになった場合に小学校の子供でも簡単に覚えられる言葉ですし、
大人になっても忘れることは少ないかと思います。
防災用語と共に防災に関わる「標語」も重要だと言えます。
覚えておいた方がいい防災用語(50音順)
防災用語は、全て覚えるということはまず難しいですが、
最低限の用語は覚えておくと自分の安心材料にもなります。
また、これは知っているから大丈夫と自分の常識や記憶で処理をしてしまうと
思い違いに気がつかない可能性があります。
用語 | 意味 |
---|---|
一時(いっとき)集合場所 | 避難場所へ避難する前に、近隣の避難者が一時的に集合して様子を見る場所又は避難者が避難のために一時的に集団を形成する場所で、集合した方の安全が確保されるスペースを有する学校のグランド、神社・仏閣の境内等をいう。 |
液状化 | ゆるく堆積した沖積層の砂質地盤に地震動が加わると、間隙水圧の上昇により砂の粒子と粒子の噛み合わせがはずれ、一時的に液状になり支持力を失う現象 |
帰宅困難者 | 大地震が発生し交通機関が停止した場合、翌朝までの徒歩帰宅が困難であると想定される方をいう。 帰宅困難者が都心部から郊外の居住地に徒歩等で帰宅するにあたり、徒歩による帰宅支援の一環として、学校や一部施設を「帰宅支援ステーション」として位置付け、災害時に水道の水、施設内のトイレ及びテレビ、ラジオ等の情報の提供を行うこととしている。そコンビニエンスストアやガソリンスタンド等についても、帰宅支援ステーションの役割を担う。 |
緊急安全確保 | 「緊急安全確保」は、災害が発生又は切迫しており、居住者等が身の安全を確保するために避難場所等へ避難することがかえって危険であると考えられる状況において、いまだ危険な場所にいる居住者等に対し、自宅等からの避難を中心とした避難行動から、緊急的に安全を確保する行動へと行動を変容するよう、区市町村長が特に促したい場合に、必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令されるレベル5の避難情報です。 区市町村長から「緊急安全確保」が発令された際には、いまだ危険な場所にいる居住者等は命の危険があることから |
高齢者等避難 | 「高齢者等避難」は、災害が発生するおそれがあり、災害リスクのある区域等の高齢者等(※)が危険な場所から避難するべき状況において、区市町村長から必要な地域の居住者等に対し発令されるレベル3の避難情報です。※高齢者等:避難を完了させるのに時間を要する在宅又は施設利用者の高齢者及び障害のある方等、及びその方の避難を支援する方 |
災害拠点病院と後方医療施設 | 災害拠点病院とは、通常の医療供給体制では医療の確保が困難になった場合に、傷病者を受け入れるとともに、知事の要請に基づいて、医療救護班を編成し、応急的な医療を実施する医療救護所との連携をもとに重症者の医療を行う病院をいう。 後方医療施設とは、都の区域内及び近隣県等で災害が発生し、通常の医療体制では被災者に対する医療の確保が困難となった場合に、傷病者の受け入れ及び医療救護班の派遣などを行う施設をいう。 |
要配慮者 | 発災前の備え、発災時の避難行動、避難後の生活などの各段階において特に配慮を要する者。具体的には、高齢者、障害者、難病患者、乳幼児、妊産婦、外国人等を想定。 |
災害用伝言ダイヤル | 携帯電話会社各社は災害時に携帯電話で安否確認ができる「災害用伝言板サービス」を提供しています。インターネット接続に対応した携帯電話で文字によるメッセージの登録・閲覧が利用できます。 |
集中豪雨 | 同じような場所で数時間にわたり強く降り、100mmから数百mmの雨量をもたらす雨です。積乱雲が同じ場所で次々と発生・発達を繰り返すことにより起き、重大な土砂災害や家屋浸水等の災害を引き起こす危険があります。 |
事業所防災計画 | 東京都震災対策条例に基づき、その事業活動に関して震災を最小限にとどめるため、都及び区市町村の地域防災計画を基準として、事業者が作成しなければならない計画。 |
図上訓練 | 防災訓練のうち、実際に現場での各種訓練行動等を行わず、ロールプレイング方式により訓練者へ一定の条件を付与することにより、応急対策業務の判断調整能力を高めるための訓練をいう。実働訓練の対語でもある。 |
耐震診断 | 現在ある構造物の耐震性を判定すること。耐震点検ともいう。耐震診断で、耐震性が十分ではないと判定された構造物に対しては、緊急性、必要性、重要性などを考慮して耐震補強を行うことが必要となる。 |
台風 | 熱帯の海上で発生する低気圧を「熱帯低気圧」と呼びます。このうち、北西太平洋または南シナ海に存在し、最大風速(10分間平均)がおよそ17m/s以上のものを「台風」と呼びます。台風は上空の風に流されて動き、地球の自転の影響で北へ向かう性質を持っています。そのため、通常東風が吹いて いる低緯度では台風は西へ流されながら北上。上空で強い西風(偏西風)が吹いている中・高緯度に来ると台風は速い速度で北東へ進みます。 |
高潮 | 高潮とは、台風や強風により海の水面( 潮位) が通常より高くなることをいいます。高潮により海面が防潮堤より高くなると、海岸線や河口部の低い土地では浸水被害が発生します。 |
トリアージ | 災害発生時等に多数の傷病者が同時に発生した場合に、傷病者の緊急度や重傷度に応じて適切な処置や搬送を行うための治療優先順位を決定することをいう。 |
ハザードマップ | 自然現象に起因する災害の危険度を示す地図。ナチュラルハザードマップともいう。 |
避難指示 | 「避難指示」は、災害が発生するおそれが高く、災害リスクのある区域等の居住者等が危険な場所から避難するべき状況において、区市町村長から必要と認める地域の必要と認める居住者等に対し発令されるレベル4の避難情報です。区市町村長から「避難指示」が発令された際には、居住者等は危険な場所から全員避難する必要があります。なお、洪水等及び高潮については、住宅構造の高層化や浸水想定が明らかになってきていること等から、ハザードマップ等により屋内で身の安全を確保できるか(家屋倒壊等氾濫想定区域外に立地・浸水しない居室がある・一定期間浸水することにより生じる可能性がある支障を許容できる)等を確認したうえで、自らの判断で上階への移動や高層階に留まること(屋内安全確保)も可能です。 |
避難所・二次避難所 | 避難所とは、地震等による家屋の倒壊、焼失などで被害を受けた方又は現に被害を受ける恐れのある方を一時的に受け入れ、保護するために開設する学校、公民館等の建物をいう。 また、二次避難所とは、自宅や避難所での生活が困難で、介護などのサービスを必要とする方を一時的に受け入れ保護する施設をいう。区市町村が、社会福祉協議会等をあらかじめ指定する。 |
避難道路 | 避難場所へ通じる道路であって、通勤圏域内の住民を当該避難場所に迅速かつ 安全に避難させるため、あらかじめ指定した道路をいう。 |
避難場所 | 大地震時に発生する延焼火災やその他の危険から避難者の生命を保護するために必要な面積を有する大規模公園、緑地等のオープンスペースをいう。 |
防災行政無線 | 国及び地方公共団体が非常災害時における災害情報の収集・伝達手段の確保を目的とする、無線による通信網。災害時に有線回線が途絶した場合でも、使用することが可能である。 |
ネットで調べる防災用語
防災用語の種類は上記以外にも、多岐に渡ります。
これらは、いろいろなウェブサイトで簡単に調べることができます。
例えば気象庁が発表している「気象災害に関する用語」があります。
また、国土交通省が発表している「防災用語ウェブサイト(水害・土砂災害)」は、
水害・土砂災害に関連する用語の概要をなるべく専門用語を使用しないで
説明しているわかりやすいリストになっているのが特徴です。
農林水産省が発表している「災害・防災用語解説」は
農業・林業・漁業を中心に掲載されています。
他にも地域自治体が運営しているウェブサイトでは、
その地域の特長に特化している防災用語を掲載していますので、
それぞれ自分の生活や地域にあったウェブサイトで防災用語を調べてみるのもいいですね。
(参照元)
気象庁「気象災害に関する用語」https://www.jma.go.jp/jma/kishou/know/yougo_hp/saigai.html
国土交通省が発表している「防災用語ウェブサイト(水害・土砂災害)」https://www.mlit.go.jp/river/gijutsu/bousai-yougo/index.html
農林水産省が発表している「災害・防災用語解説」https://www.maff.go.jp/j/saigai/yougo/
防災用語をもっと知りたくなったら
様々な防災用語を知ってみて、もっと知りたいと思った方は
本や事典を購入することをおすすめします。
事典や本の中には用語の意味やプロセス・事例を掲載しているものもありますので、
それぞれの用語の理解が深まり記憶にとどめる助けになるでしょう。
また、用語の意味を正確に理解することは、災害時のデマやパニックの防止にもなります。
一家に一冊あれば、家族と共有することもできますね。
それでは、防災用語の本のおすすめを紹介します。
これだけは知っておきたい!山村流 災害・防災用語事典
おすすめポイント
実際に災害・事故現場に150か所以上の現地調査を行った著者が、
防災用語だけでなく過去の災害事例や災害に役立つ情報を盛り込んだ内容になっています。
58の用語でわかる!防災なるほど解説
おすすめポイント
よく使われる防災に関する58の用語を精選し、自然災害がおきる前のことにふれ、
災害をまねく自然現象、さまざまな自然災害、災害予防に分けて紹介しています。
大型本ですが、教科書のようにわかりやすい構成になっています。
まとめ
防災用語は普段聞きなれている用語も多いですが、
たくさんの種類やイメージできないような難しい用語もあることがわかりましたね。
平穏な日常でも、自然災害は突然おとずれます。
そんな時に「防災用語」を知っていれば
危険度を正しく理解して最速で最良な命を守る行動ができます。
防災用語の全てを覚えることは難しいですが、
意味を勘違いしやすい用語や記憶に残りにくい用語、
自分の生活圏に起こりやすい災害の用語などは重点的に覚えるようにしましょう。
防災用語を含む防災の準備して、いざとなった時にあわてることなく
自分や大切な人々の命を守る力にしたいですね。