防災の日はなんであるの?
制定のきっかけは関東大震災
1923年9月1日、午前11時58分、神奈川県を震源とするマグニチュード7.9の巨大地震が発生。死者・行方不明者数が10万人を超え、甚大な被害をもたらした「関東大震災」です。
その記憶を胸に、自然災害に対する認識を深め、心構えや準備を見直そうと「防災の日」は制定されました。
多発する自然災害から私たちが学ぶべきこと
今年の元日に能登地方でマグニチュード7.6の地震が発生し、最大震度7を観測、東日本大震災以来の大津波警報が発表されました。このように災害大国日本では、地震をはじめ自然災害を避けて通ることはできません。ですが、過去の自然災害を知ること、そこから得た教訓を学び活かすことが未来の減災につながっていくと考えることが大切です。まずは”知る”ことから防災への一歩を踏み出してみましょう。
災害に備えた防災を見直し、確認をする日にしよう
7月8日には、宮崎県でマグニチュード7.1の地震が発生し「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」が発表されました。南海トラフ地震は、今後30年以内に70~80%の確率で起きると言われており、予断を許さない状況です。
日々の生活で防災に取り組んでいない場合でも、次の4つの備えから始めるとよいでしょう。
- 避難場所・避難経路の確認
- 家族との決めごと
- 食料や水の備蓄
- 家具の固定
防災の日を災害に備えることの大切さについて改めて考える日にしましょう。
過去の災害を知る「能登半島地震の現状や復興への課題から考える防災」
過去の災害を知ることは、防災への大切な一歩です。
まだ記憶に新しい今年の元日に発生した能登半島地震では、復旧・復興に向けての問題や課題が浮き彫りになりました。
能登と同じような特徴をもつ地域は日本にはたくさんあります。
過去の災害事例から現状や原因を知り、自分の地域や生活にあった教訓を探すことで、被害を最小限にするための行動がとれるようになること。これがもっとも重要なことです。 危険を正しく理解し、予測し、備えることで、自らの安全確保を考えましょう。
ライフライン復旧には時間がかかる
能登半島地震から8ヶ月が経ちましたが、被災後、ライフラインの復旧に時間がかかっているという報道はよく耳にしました。おおむね復旧まで、電気が約1ヶ月、プロパンガスが約2ヶ月、水道に関しては5月31日にようやく石川県からほぼ断水解消が発表され、約5ヶ月もの期間を要しました。 災害の大きさや状況により異なりますが、ライフラインの復旧にはかなり時間がかかるため、普段と違う生活を送らなければなりません。世帯の状況によって、必要なものは異なってきますが日頃から家族会議などを行い、災害時のさまざまな状況を想定した準備を行いましょう。
耐震化ができていなかった家屋も多かった
令和6年能登半島地震で建物の倒壊被害が多く報告されたのは、耐震基準を満たしていない、比較的築年数の古い木造住宅が多かったことも原因のひとつと考えられています。
建物の耐震基準は大きな地震のたびに改正されており、1981年6月1日以降に新耐震基準が施行されました。その後、2000年にさらに大きな改正がおこなわれ、建物の安全性が向上しました。
能登半島地震の被災地である輪島市や珠洲市では耐震化率が約50%前後だったため、住宅被害が多かったと言われています。しかし、1981年以降の建物でも劣化や地盤の液状化などの影響で安全とは限らない場合があります。この機会に、耐震診断と耐震補強を検討し、自宅の安全性を再確認してみましょう。
被害や復興状況を知ることも防災
災害からの復興には「社会の復興」と「個人の復興」の2種類があります。
社会と個人の両方を復興させるために、さまざまな支援がなされています。
能登半島地震は、住宅やインフラの被害が深刻で、復興には長い年月を要すると考えられています。
幹線道路の復旧遅れ、人手不足、進まない公費解体など課題は多岐に及びます。
「元通りにする」を目指す「復旧」と違い、「復興」は「その状態よりさらによくする」ことを意味します。
市民の意見を取り入れながら、被災前よりも災害に強く活力のあるまちへと再建し、被災者の心理的ケア、雇用の創出と安定、未来への創生も復興へ向けて取り組むべきことです。
まずは被災地を知り、寄付や募金、支援商品購入や支援地を訪ねるなど我々にもできることがあるはずです。被災地のより早い復興を願います。
石川県公式ホームページ 令和6年能登半島地震 復旧・復興のあゆみhttps://www.pref.ishikawa.lg.jp/kanri/202401jishin.html
10の防災見直し
現状→課題→行動という順序で見直そう
防災対策について、まず現状をチェックするところから始めましょう。次にそこから見えてくる課題を洗い出し、最後に課題を改善するための行動は何かを考えます。
防災対策において代表的な10の見直し例を紹介します。 自分または家族と話し合い防災見直し項目を考えて行動にうつしてみましょう!
1、ハザードマップの用意/内容の確認
現状・・・自分の避難経路を知らない。
課題・・・いざというときに避難経路を知らないことは逃げ遅れる可能性が高い。
行動・・・自分の地域のハザードマップをインターネットで調べて、印刷したマップに避難経路をマーキングする。実際に家族で避難経路を歩いて避難所まで行ってみる。
2、生活の中でのシミュレーション
現状・・・大震災が起きることは他人事で、自分の生活とは結び付かない。
課題・・・想定外のことが起きると人はパニックになり冷静な行動が出来ない。
行動・・・いつ、どこで、だれと災害に遭いやすいか想像する。年齢や家族構成によって「避難のタイミング」が変わってくるので、一人ひとりが具体的な避難行動計画(マイ・タイムライン)を作る。
3、家族との連絡手段
現状・・・災害時について家族と話し合ったことはない。
課題・・・それぞれ別の場所にいる場合、家族と連絡手段を決めておかなければ合流することが難しい。
行動・・・災害時に電話が使えない時は、LINEやXで安否を報せることを家族で決める。災害用伝言ダイヤル(171)も有効である。
4、ライフラインが停止した想定での対応
現状・・・ライフラインが停止したとしても、すぐに復旧するので対策はしていない。
課題・・・復旧には時間がかかることが多く、特に大規模な災害では数日から数週間かかることがある。
行動・・・水は最低でも3日分(できれば1週間)、電気やガスを使わなくても食べられるものを用意する。
5、スマホの防災への活用
現状・・・防災に関してスマホを活用したことはない。
課題・・・リアルタイムでの災害情報や警報を受け取ることが出来ない。
行動・・・防災アプリ(横浜市避難ナビなど)を入れて、プッシュ通知で情報を受け取れるようにしておく。
6、地震保険について
現状・・・火災保険しか加入していない。加入していたけれど更新を忘れていた。
課題・・・地震による火災や倒壊、津波による浸水などで家や財産が失われても補償されない。
行動・・・食料や防災グッズの備えも大切だが、経済的な備えも大切。被災後の生活を支えてくれる地震保険も検討してみる。
7、ペットとの避難について
現状・・・ペットも一緒に避難所へ避難すればいいと考えている。
課題・・・避難所によってはペット同伴が出来ない場合がある。
行動・・・自宅付近の避難所が、ペットも同伴出来るのか事前に確認するとともに、しつけをして避難所生活に備えておく。
8、家具家電の転倒防止策
現状・・・家具は固定しないで配置している。棚の上に電子レンジを置いている。
課題・・・地震時に家具や家電が転倒することで大きな危険を及ぼす。
行動・・・出来るだけ高い所に置かない、留め金の設置や滑り止めシートを敷くなどの対策をする。
9、建物(自宅)の耐震
現状・・・自宅の耐震性について把握していない。
課題・・・建物がどの程度の揺れに耐えられるかわからず、耐震対策を怠ってしまう。自宅が避難場所として適しているかも判断できない。
行動・・・自宅の耐震等級を調べ、自治体に耐震補強の相談に乗ってもらう。耐震診断の費用の一部などの助成を行っている自治体もあるので、調べておく。
10、備蓄品
現状・・・水、食料品以外は特に用意していない。
課題・・・常備薬やコンタクトレンズなど避難所で支給されない「自分だけのもの」の抜けがないかが重要。
行動・・・何が必要か、何が足りないか、非常時に便利なものは何なのか、いざという時のためにチェックリストを作り備えておく。
まとめ
神奈川県は海、川、山があり、観光地も多く、人口は約923万人で全国2位です。大地震が起これば建物の倒壊や火事だけでなく津波の危険もあります。大規模な風水害が発生すれば土砂災害をはじめとした様々な災害が想定されます。
9月1日防災の日は、「災害に備えた防災を見直す」日です。
いま一度、「備え」を見直し、実際に「行動」を起こしましょう。
自分の身は自分で守る、もちろん、自分の家族もまちも自分で守る。個々の防災力がもしもの時に生きる力となります。
家族や友達と防災について話し合い、一人ひとりが防災や減災を自分事として考えるきっかけとなる日になることを願います。
くぼてんき
日本テレビ「 ZIP! 」気象キャスター。はまっ子防災プロジェクト公式アンバサダー。気象予報士、防災士、こども環境管理士。東京都認定大道芸人ヘブンアーティスト。